「そんな……。

リリーの魔法が……」



僕は離れたところからリリーの魔法が消滅したその瞬間を見てつぶやいた。



きっとさっきの魔法がリリーの奥の手で、もうリリーに切り札は残っていない。



そんな絶望感が漂う中、ダーギルは右手に魔力を貯めて、渾身の魔法を解き放った。



「これでもくらえ!

衝撃系の最強魔法、ビッグインパクト!」



ダーギルの右手から解き放たれた衝撃派が、リリーの体をまるでゴムボールのように弾き飛ばした。



そしてリリーは後方の壁に勢いよく激突し、そのまま前のめりに倒れ込んだ。



「リリー!

大丈夫か?」



僕はリリーに向かって叫んだが、リリーから返事は返ってこない。



ダーギルの強烈な魔法を受けて、リリーがまだ本当に生きているのかさえわからなかった。



マギーがやられ、リリーもやられた。



そんな今の状況は、僕にとって絶望でしかなかった。



リリーを倒したダーギルの背中を僕が見つめていると、ダーギルはゆっくりと僕の方を振り返った。



そしてダーギルはニヤリと笑うと、僕を次のターゲットに指名した。



「最後に弱そうな賢者が残ったな。

まぁ、順当だ。

自分の弱さを認めないヤツは早死にするものだからな」



ダーギルはそう言ってゆっくりと僕の方に近づいてきた。



そのとき、僕の体は死への恐怖で震えていた。



最強のパーティの誰もが勝てなかったダーギルに、僕なんかが勝てるはずがない。



迫りくるダーギルの歩みが、僕の死へのカウントダウンとリンクする。



でも、僕はそのとき、絶対に逃げないと心に誓って剣を握りしめた。



僕は大切な仲間たちと運命を共にする。



いくら死ぬのが怖くても、僕はこの戦いからは絶対に逃げ出さない。