カレが幽霊になりました

恋愛(ラブコメ)

まこなっつ/著
カレが幽霊になりました
作品番号
1603804
最終更新
2020/05/24
総文字数
2,405
ページ数
2ページ
ステータス
未完結
PV数
6
いいね数
0
彼は、どんな時も明るく軽快に笑う。

悩みも不安も吹き飛ばしてくれるその笑顔が、私は大好きでたまらなかった。

くるくると変わる表情に、口角の上がった口。

そのどれもが、彼の性格を表しているようだ。

2人が大好きだったお祭りで、たこ焼きが大嫌いなのだと、しかめっ面をして言った。

関西人のくせに、何言ってんだか。

思わず、吹き出して笑ってしまった。

ピクニックに、お買い物に、お散歩。

色々な所に行って、色々な思い出を作ったっけ。

彼はとてもアイディアマンで、有名な観光地や、景色がきれいな場所、とにかくたくさんの場所に、私を連れて行ってくれたんだ。

本当に私のことを飽きさせない存在。


私が体調を崩した時は、いつもお見舞いに来てくれる。

私の体を想いやる、温かく優しげなその瞳が、不思議と懐かしく感じた。

その手のひらの温もりも、私は忘れることができない。

いつまでも大切にして行きたい、そんな思い出の1つ。




でも、そんな彼は、もう私の隣にはいない。

儚く(はかなく)桜が舞い散る去年の春、遠い空へ旅立ってしまったから。

事故に遭って、呆気なく(あっけなく)。

18年の人生を締めくくるには、まだ早すぎたんじゃないかな。

トラックに轢かれた彼の手には、私の誕生日のための、プレゼントが握られていた。

『お誕生日おめでとう』

そう書かれたメッセージカードを、シワシワになるまで何度も何度も読んだ。

きっと、17になった私を祝うために、奮発(ふんぱつ)していたのだろう。

高鳴る気持ちを抑えて、いつものように明るく優しい笑顔を浮かべて、走っていたのだろう。

私のことだけを考えて、横から飛び出してきた車にも気づかなかったのだろう。

彼は、心底大馬鹿者だ。

大好きな、優しい馬鹿は、もういない。





…と、思っていたのに……。





「なっ、なんで幽霊になってんのぉぉおおおおおおおっ!!!?」

私の隣には、半透明の青白い彼。

いつもの笑顔を浮かべてる。

ああ、彼は、まだまだ私を飽きさせない。
あらすじ
去年の春、大切な彼氏である18歳のユウキを事故で失った、17歳のリエ。
喪失する彼女の横には、もうユウキの姿はない…はずだった。

『なんで幽霊になってんの!?』

半透明の彼は、いつものように明るく笑う。

幽霊カレシと幽霊嫌いのカノジョが送る、ボケ&ツッコミ満載のラブ(?)コメディ。

この作品のキーワード

この作品の感想ノート

この作品には、まだ投稿されていません。

この作品のひとこと感想

この作品には、まだ投票されていません。

この作品をシェア

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

pagetop