「ごめんね、叶望っ。ごめんね…っ」


母親は叶望を抱きしめ何度も謝った。

それでも叶望の涙は止まらず、その小さな頭で必死に理解しようとしていた。




「ねぇ、お母さん。……どうしてお父さんと別れないの?」


そう聞くと母親は自嘲しながら、叶望の頭を撫でた。





「…お父さんが好きだからよ。愛してるの。」


「あい、してる…?」


叶望には理解出来なかった。

暴力を振るわれてなお「愛してる」と口に出す母親と、そんな自分を愛してくれている母親に手を上げる父親が。