「…や、だ…」


「あー?なんか言ったか?」



愛されてないのなんか、知ってる。


愛がどんなに人を変えるのか、歪めるのかも知ってる。




───全部全部、知ってる。









「やだ…っ離して!」


咄嗟に目の前にいた男を突き飛ばして、走った。




「おい!待てや!!」



雨だし、足は早くない。

捕まればきっとさっき以上に酷いことをされる。






けど…



「誰か…っ助けて…!」