「わかんなくなったらすぐ言ってください」
「情けない…」
「頭脳の造りは人それぞれですよ。二千花先輩の見た目でバカとか、一般的にギャップなんでいいんじゃないですか」
「吉乃くんはオブラートに包むっていうことを知らないんだね…、」
はぁ…とため息をつくと、「かわいいってことですよ」と、そこに含まれた真意のわからない言葉を吐かれる。
なんて返したらよいかわからないから、吉乃くんのこういうところは最近の私が苦手だと思っていることだった。
それにしても、私の方が先輩なのに、後輩の男の子に勉強を教えてもらうって冷静に考えても意味が分からない。
なにがどうなって、私たちは学校帰りにファミレスで勉強会を開いているんだ。
こうなった経緯は、ちょうど3日前の放課後にあった。