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「吉乃くん、…気づいてたの?」
「なにがですか」
図書室を出て、並んで帰る帰り道。
吉乃くんにそう言えば、彼はとぼけたように言った。
「…成川くんが来てたの、本当は知ってたんじゃないの」
「さあ?けど結果オーライじゃないですか」
「、どこが」
「先輩に 俺がいるってわからせてあげられたこととか」
「…なにそれ、意味わかんない。吉乃くんと私は付き合ってないでしょ」
「でもキスしたのは事実ですよ」
「それはっ、」
吉乃くんが提案したことでしょ、
そう言えなかったのは、私はあの時 自分の意思で彼を拒否しなかったことを自覚しているからだ。