――好きじゃないのに一緒に居るのって苦しくないですか?
苦しいよ。自分のふがいなさに泣きたくなる。
彼の好意を踏みにじっている自分が嫌いだ。
それなのに未だに終止符を打てずにいるから、もう、どうしようもないのだ。
出会って2日の後輩に言うべきことではなかったかもしれない。
ちょうど昇降口に着いたので、「ごめんね、こんな話」と言って話を終わらせようとすると、
「二千花先輩」
今まで黙って聞いていた吉乃くんが、ゆっくり口を開いた。
「いいんじゃないですか」
「…え」
「俺は、そのくらいずるくて贅沢な方が好きですよ」
その言葉にどんな感情が込められているのか、その時の私にはわかる訳もなかった。