…それにしても、吉乃くんは本当にどこに行ってしまったのだろうか。
連絡がないのは少し心配だ。
誘拐されたとか、事故にあったとかだったらどうしよう。
そう考えたらなんだか落ち着かなくなってきてしまった。
本屋を出て、カバンからスマホを取り出し、吉乃くんとのトーク画面を開く。やっぱり既読はまだついていない。
…吉乃くん、何かあったのかな。
意を決して通話ボタンを押すも、何回か機械的な音が響くも出る気配はない。
吉乃くん、大丈夫?
何かあったの?生きてますか?
焦る気持ちを必死に抑え、スマホを握りしめてあたりを見回す。
吉乃くん、今どこに──────…
「…、え、?」
ぽろり、言葉が零れた。
見上げた視線の先には、探していた彼の姿がある。
けれどその隣には───…私の知らない、女の子がいる。