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だんだんと日が暮れ始めた頃。
本屋を出た私たちは、他愛のない話をしながら電車を乗り継ぎ、私の最寄り駅で一緒に降りて家まで送ってもらっていた。
肩を並べて歩く帰り道。
今日のことを思いだして自然と頬が緩む。
吉乃くんに見つかって「何笑ってるんですか」って言われたので、「今日すごく楽しかったから」と言えば、吉乃くんは少しの間のあと「よかったです」と小さく返事をした。
すごく充実した1日だった。
美味しいハンバーガーを食べることができたし、大きな本屋さんにも行けたし、吉乃くんのおすすめの本を教えてもらった。
今夜から読み進めるのが楽しみだ。
そしてなにより、まだ知らなかった吉乃くんの話をたくさん聞けたのだ。
密かにずっと気になっていた吉乃くんと蒼志くんの出会いの話。