かわいい…って、ナチュラルに言われてしまった。嬉しさと恥ずかしさが込みあげて目を逸らす。

けれど、そんな私はお構いなしに吉乃くんは言葉を続けた。




「髪の毛も、いつもストレートなのに巻いてきたんですね。似合ってます」

「そっ…」

「照れてるんですか」

「なっ…」

「さっきから一文字しか話せてないですよ先輩」



誰のせいですかそれは。
吉乃くん、きみのせいではないですか。



たしかに、今日の恰好は吉乃くんのために選んだと言っても過言ではないし、吉乃くんが私の私服を見てなんて言ってくれるかなぁと、少し期待していた部分はある。


けれど、彼が私の期待以上の言葉をかけてくるものだから動揺してしまったのだ。



かわいいも、似合ってるも、吉乃くんに言われるとどうしてこんなにうれしいのだろうか。

くすくすと肩を揺らして笑う吉乃くんに、私は顔を赤らめて俯くことしかできなかった。