椅子の下から少しだけ見えた上履きの色が赤だったので、名前も知らない彼女が2年生であることは分かった。


テスト前に読書なんて、俺だって少し控えるのに。余裕そうだし、きっと物凄く頭いいんだろうな。



「あの人、副会長の彼女じゃん?」

「佐々木、知ってんの」

「有名程でもねーけど。美男美女だって一部では騒がれてんだよ」

「ふぅん……」





……なんだ、俺 なんにも出来ないじゃん。


しかも副会長って、……完璧人間でモテモテって噂の成川先輩かよ。


成川先輩は彼女の何処を好きになったんだろう。

見た目、かな。
俺と同じ一目惚れだったら 嫌な偶然だなー…とか、そんなことを考える。


俺は特別魅力的なところがあるわけでもないし、そもそも彼女は俺の存在すら把握していない。



「別に好きとかじゃないから」

「ま、山木ってあんまそういうの興味無さそうだしな」



興味ないと言うか、興味がある人にこれまで出会っていなかっただけだけど。


振られるってわかっていてもいつかちゃんとこの気持ち伝えられる日がくれば良い。



良いタイミングが来れば。

図書室に時々顔を出すようになったのは、不確かな未来を願った故のことだった。