好きな人かはまだ分からない。
けど、興味がある。


今 目の前で私を見つめる彼のことを、私はもっと知りたいのだ。




「吉乃くんが前に言いかけた、私についてる"嘘"ってなんだったのかな」

「……、」

「私でもわかるように教えて欲しいの」




教室の静寂は 相変わらずだ。どんなに小さい声でも聞き取れてしまいそうなほど静まり返っている。


ドキドキ、バクバク。


下手したら、さっき保健室で成川くんと話した時より心臓が騒いでいるかもしれない。



吉乃くんといる時の私は、やっぱり少し変なのだ。





「……俺は、」


吉乃くんが、静かに言葉を紡いだ。





「図書室で会う前からずっと、二千花先輩のこと知ってました」