「息が合いすぎてます」
「おかしーねホント」
「…先輩、……報告、あるんですよね」
目を合わせて小さく笑いあった後、吉乃くんが私からの話を先に促すように言う。
その言葉に頷いて私はゆっくり口を開いた。
「…、成川くんと別れた」
「…はい」
「私が考えてたこと……全部お見通しだったみたい」
成川くんに言われたことをひとつひとつ吉乃くんに伝える。吉乃くんは、何も言わずに 時々相槌を打ちながら聞いてくれた。
「嘘ってさ、やっぱ分かっちゃうものなのかな」
「…どうですかね」
ぼんやり そんなことを投げかけると、吉乃くんは窓からグラウンドを眺めながら曖昧な返事をした。
「成川くんが言ってたんだ。"自分の気持ちなんて関係なしに、嬉しいこともキツいことも、好きな人の考えてることって結構わかるものだから"って」
「……」
「…私は、興味がある人の考えてることすら分からない」
私の言葉に、吉乃くんはピクリと肩を揺らす。
少しだけ眉を寄せ、「他に好きな人でも居るんですか」と返された。