好きとかじゃない。
この得体のしれない違和感は、成川くんに言ったその言葉が自分の中でなんとなく引っかかっているせいかもしれない。
兎にも角にも、その感情は差し置いても、吉乃くんにはちゃんと報告をしなければならない。
巻き込んで迷惑をかけてごめんねって、全部終えた今だからこそ言わなくては。
はやく言いたい。
はやく、吉乃くんに会いたい。
「───…吉野先輩」
声に釣られるように顔を上げた先。
そこには、会うのは本日二度目である、蛍原さんの姿があった。
蛍原さんが 反射的に立ち止まった私のもとに来る。
ムッとした表情を浮かべていて、また何か私は失敗してしまったのか、と内心ハラハラしていると、「先輩」と、彼女が口を開いた。
「ちゃんと、終わらせてきたんですか」
「…うん。お別れしてきたよ」
「…そーですか」