「にしても…」

そう言って、ゆうくんはマジマジと私の姿を見た。

??


「今から虫捕りに行くみたいな格好だね」

クスクスと笑い出したゆうくんに、私の顔は一気に熱を帯びる。


「酷い!」

麦わら帽子は日射病予防だし、キャリーだと邪魔になるかと思ってリュックに詰め込んできた。

ショートパンツだって、ゆうくん家にお邪魔するのに動きやすい方が良いかと思って、スカートを履くの我慢したのに…!



「ゆうくんがこんな意地悪だと思わなかった」

プイッと私は顔を背けた。


「可愛いって、怒んないでよ」

「ふーんだ」

「陽葵は可愛いよ」

「そんな事言っても騙されないんだから…!」

「帰りにアイス買ってあげるから」

「え!本当!?」

「本当。だから機嫌直して?」

「へへっ。許す」

自分で自分が単純だと思うけど、嬉しい気持ちを隠す事が出来なくて、ゆうくんに抱きついた。

お母さんに手土産って持たされた紙袋がガサッと音を立てる。


ゆうくんと一緒にアイス食べるなんて、小学生ぶり。

嬉しいっ!!


パサッと地面に落ちた麦わら帽子。

「甘えん坊。暑かったね」

優しい声と頭を撫でるゆうくんに胸がほわほわしてくる。


へへ

嬉しい。嬉しい。


私はゆうくんの服に、頭をグリグリと擦った。