「彼なら陽葵を幸せにしてくれるだろ…」
「い、やだ…私はゆうくんが……」
「陽葵、いい加減にしなさい。俺の背中ばかり追いかけるんじゃなくて、陽葵を大事にしてくれる人を探しなさい。もう、俺から卒業するんだ」
ゆうくんの瞳が真剣そのもので…
「何で…そんな事言うの…?ゆうくんは私を大事にしてくれないの……?」
声が震える。
「妹としては大事な子だ…それ以上の感情は、無い」
ゆうくんの言葉を聞いた瞬間、ブワッと涙が溢れた。
ゆうくんといる時間は楽しくて、幸せだった。
「私、ゆうくんが…好きだよ」
「陽葵!」
強い口調で私の名前を呼んだゆうくんに、肩がビクッと上がった。
昔も今も変わらずゆうくんが好きだった。
でも、ゆうくんにとってそれは迷惑だったんだね…。
「…もう……いい。ゆうくんのバカ…嫌いっ」
そう言って私は家を飛び出した。
行く当ても無いのに。
悲しくて無我夢中で走り続ける。
次第に降り出した雨に私は立ち止まった。
それでもゆうくん家に戻れない。…戻りたくない……。