インターホンが聞こえ、ビックッと肩が上がった。


え…まさか……まだお昼になってないのに。


「陽葵〜」

遠くからゆうくんの声がする。


「準備終わった〜?」

ガチャッとドアが開いた。

「迎えが来たぞ」

真っ直ぐ私を見つめるゆうくんに、寂しさが込み上げてきた。

我慢、しなきゃ…そう思って、私は下唇を噛んだ。


「うん…」


ゆうくんの後を歩き、玄関に行くとお母さんだけ来ていた。

靴を履いて、ゆうくんの顔が見れなくて…俯いたまま、お母さんの隣に行く。


「祐介くん、ほんとありがとね〜。陽葵が迷惑かけなかった?」

「いえ、とても楽しかったですよ」

「陽葵、お礼言ったの?」

「ゆうくん…ありがと……」

「もう、この子ったらどうしたの?俯いちゃって」


寂しい。寂しいよ…。


「あの、すみません。今日1日だけ、陽葵を預からせて頂けませんか?」

…え?…ゆう……くん…?


顔を上げると、ゆうくんは真っ直ぐお母さんを見ていた。


「急だったし、まだ心の準備が出来てないって言うか…陽葵、ずっと悲しそうな顔をしてたんです。そのまま帰すのも後味悪いし、陽葵には笑顔で帰してあげたいんです」

ゆうくんの言葉に胸がキュッとなった。

私、このまま帰りたくないっ…!


「お母さん、お願いっ…!今日1日でいいからゆうくん家に泊まらせて?」

「あらあら」

そう言ってお母さんは困った顔をした。