「ゆうくんは寂しく無いの…?」

「寂しいけど、元々両親が海外に行ってる間の話だっただろ?」

「そう…だけど…」

「会おうと思えばまた会えるから。な?」

「…うん…」

ゆうくんの顔が見れないまま私は頷いた。


朝食を食べ終え、荷造りを始めた。

泊まってる間ずっとゆうくんの部屋を貸してもらってた。

勝手に衣装ケースを借りて、置いてた服を取り出す。


リュックに詰めていくと、涙で視界が歪んで…

歯ブラシ…入れなきゃ。

その涙を拭い、私は洗面所に向かった。


ベランダで洗濯物を干していたゆうくん。

もう、この光景を見ることも無い…。


私は歯ブラシを持ち、ゆうくんの部屋に戻った。


もう何も入れる物が無いのにリュックの前に座り、ただボーッとした。

ゆうくんの顔を見たら寂しくなるから…

またワガママ言っちゃいそうだから…


だから、部屋から出られなかった。



コンコンッと部屋をノックする音が聞こえた。

ドアの向こうで聞こえるゆうくんの声。

「陽葵、準備できた?」

「あともう少し…」

「忘れ物が無いように確認しておくんだよ?」

「うん…」


嘘…ついちゃったな…。

もう準備出来てるのに。