朝起きるとゆうくんはベッドからいなくなっていた。

ずっと手を握っててくれたゆうくん。


へへ

思い出すだけで胸がフワフワする。


着替えてリビングに行くと、ゆうくんの声が聞こえた。

電気がついてないリビングは曇りのせいか薄暗い。


「はい。わかりました。はい…はい。では、また後ほど」

「こんな朝早くに電話?」

スマホを握りしめたゆうくんは、ボーッとしてて返事が返ってこなかった。


「ゆうくん?」

振り向いたゆうくんは、どこか元気が無いように見えて…。


「今日、親御さんが迎えに来るって」

「えっ!?何で?予定日はまだ先じゃ…」

「思ったより早く仕事が進んだんだって。今日の昼頃迎えに来るって」

「やだ!まだゆうくんと一緒にいたい!」


「ハハッありがとう陽葵。ご飯食べようか」

そう言ったゆうくんは電気をつけ、テーブルの上に朝食を並べ出した。


ゆうくんは寂しく無いの?

帰っちゃったら…また、会えなくなるんだよ?


「食べ終わったら帰る支度するんだよ」

「やだっ!」

「こら陽葵。ワガママ言わないで」

っ…。ゆうくん…。

寂しいのは私だけなんだね…。


椅子に座って用意された食パンを一口かじる。

一緒に食べるのも…これで最後…。


楽しかった思い出が蘇ってきて、涙が出て来た。

「まだ、ゆうくんと一緒にいたい…」

困らせるってわかってても、寂しい気持ちには勝てなくて…ワガママを言ってしまう。

「陽葵…」