何も見るもの無い。
仕方ない。寝るか。
そう思って、電気を消そうとした時だった。
ガチャッと部屋のドアが空いた。
「あれ、陽葵起きてたの?」
布団を持ったままリビングに来た陽葵。
「ゆうくん…一緒に寝よ?」
……は。
いや、無理だから。そんな可愛くお願いされても…
何の為に俺がリビングで寝てると思ってるんだよ。
陽葵のそばに行き、安心させるために頭を撫でた。
「どうした?雷怖い?」
「ん…」
控えめに俺の裾を掴む陽葵。
いや、待って。無理、可愛すぎる。
俺の身体が持たねえ。
「陽葵、潜って寝れば大丈夫だから」
再び聞こえた雷の音に、陽葵は勢いよく抱きついてきた。
「陽葵、離れ……」
陽葵の肩が震えていた。
相当怖いんだな…。
こんなに震えてる陽葵に1人で寝なさい。って言う俺は、相当の鬼だ。
はぁ…
「わかった。一緒寝よう」
「いいの?」
抱きついたまま顔だけ上げる陽葵の眉毛が、まだ下がってる。
「うん」
「ありがとう。ゆうくん」
陽葵の声に元気が無い。
きっと悪いと思ってるんだろうな。
陽葵にそんな思いさせないよう、安心させないといけない。