「ごめん、光くん。陽葵体調悪いみたいだから俺達帰るって言っといてもらえるかな?」

「え…?あ、はい」

光くんの返事を聞く前に、陽葵の手を引き歩き出した。


「ゆうくんごめんなさい!今からでも戻ろ?」

「いいよ別に」

「…ごめんなさい……怒んないで…」

え。陽葵の震えた声に俺は立ち止まった。


「何で?怒ってないよ?」

「じゃあ何で帰ろって言ったの…?」

「それは…」

陽葵に触れるあの子を見たくなかったから…あのままいたら、絶対陽葵に触れるだろう。

それに、妹じゃ嫌って可愛い事言うから…。

そんな陽葵を誰にも見せたくない。


なんて言葉が口に出せるわけもなく。


「陽葵が元気無いって言うから」

当たり障りの無い事を言った。


「やっぱり私のせいだ…戻ろ?」

そう言った陽葵は俺の手を引っ張って、みんなの所に戻ろうとする。

そんな陽葵の頭を撫でた。

陽葵に嫌な思いしてほしくない。


「陽葵がどうしてもって言うんだったら戻ろうか。みんなの所に戻る?」

俺の指を掴んで悩む姿も可愛いくて、独り占めしたい。2人でいたい。


「今日は…ゆうくんを独り占めする……ゆうくんの事、いっぱい知りたい」

なんて顔を赤くして言うんだもんな。

可愛すぎだろ。


「ハハッ了解」


俺達は暗くなった道を通り、電車に乗って帰った。