スマホを手に持ったのは良いけど、今はゆうくんといる時間の方が大事。

再びスマホをポケットに入れると、ゆうくんの笑い声が聞こえた。


??

「少し落ち着きなよ」


嘘っ、見られてた!?

そう思った途端、一気に恥ずかしくなってきて熱くなった頬に両手を当てる。


「っ……」

「早くしないと陽葵の分も食べるよ?」


私のお皿にゆうくんの箸が伸びてきた。

ナスを掴み、口に入れるまでの動きが早く、その一部始終を見ることしか出来なくて…。


「ダメっ!」

お皿を取り上げて、これ以上取れないようにする。


「おかわりあっち…!」

台所を指す私を、ゆうくんは楽しそうに笑って立ち上がった。


「おかわり貰おーっと」

もうっ!ゆうくん意地悪だ!

プクッと頬を膨らませ、お皿に盛るゆうくんを睨んだ。


「ハハッ。リスみたい」

絶対バカにしてる…!


「ゆうくんがおかわりしたの全部食べてやるんだから…!」

「あ、じゃあ俺ココで食べよ」

「行儀が悪いー!」


リビングに私達の騒々しい声が響く。


ゆうくん意地悪なんだけど、なぜかそんな言い合いも楽しくて、こんな何気ない日常も良いなぁって思った。