私は頬を軽く叩いた。


「よしっ…!」

ゆうくんの為にご飯作ろう!


いつも作ってもらって、ゆうくん大変だったと思う。


お邪魔してるんだから、少しでもゆうくんの力にならなきゃ…!



別に料理が得意って訳じゃない。

簡単な物しか作れなくて…


そんなことならお母さんに教えてもらうんだったな……。


後悔しつつ私は長い髪の毛を括って、晩ご飯のメニューをスマホで検索した。




***

「ただいま」

ゆうくんの声が聞こえ、一目散に玄関に向かった。


「お帰りなさい、ゆうくん!」

「良い匂い…陽葵が作ったの?」

「うん!ゆうくんの為に頑張っちゃった!」

ニッコリ笑顔でそう答えたけど、私は指を組んでモジモジする。


「下手っぴだけど許してね?」


チラッとゆうくんを見ると、視線を逸らして手で顔を押さえていた。

??…ゆうくん?


「陽葵に渡すものがあるだ」

そう言って渡された白くて小さい箱。


「開けてもいい?」

「どーぞ」


白い箱には、ショートケーキとシュークリームが入っていた。

「わぁっ…!」

「ハハッ、目がキラキラしてる」

「ゆうくん、コレ…!」

「バイトに行ってるせいで、1人で留守番させてるから。ご褒美」