青い空に浮かぶ大きい入道雲が、夏の暑さを強調させる。


額から流れる汗。

麦わら帽子をかぶってるお陰で、少しは暑さも凌げてるはず。



私、水瀬(ミナセ)陽葵(ヒマリ)は訳あって幼なじみの家に向かっている。




事の始まりは夏休みに入って、2週間経った日だった。


お父さんが1ヶ月間海外に出張することになったのだ。

夏休みという事もあり、お母さんの提案で家族3人で海外に行く事になった。

もちろんお父さんは仕事で行くから、私達は別でホテルを取って観光。



その予定だったんだけど…。

急すぎる出張と、夏休みの時期という事で、どこのホテルも満室になっていた。


唯一あるのはビジネスホテルの1部屋だけで…。



「行ってきなよ」


お母さんのしょんぼりした顔を見ると、どうにかしてあげたくて、私はそう言っていた。


「でも、陽葵はどうするの?」

「私なら大丈夫!料理とか授業で習ったから…!」


心配かけないようにニッコリ笑った。


「でも…」

「大丈夫だよ。それにお母さん、お父さんと1ヶ月も離れてたら死んじゃうかもしれないよ?海外だから電話も出来ないんだよ?」

私の言葉にハッとしたお母さん。