「……なんでさ、バスケやめちゃったの?」 今まで誰にも聞かれなかったから、焦った。 悪いことはしていないのに、冷や汗が出そうになった。 けれど、この動揺は悟らせてはいけない。 「バスケよりも、放課後遊んだりしてぇなって」 「そうなんだ。上手だったのになんでだろうって」 君は、足元のゴミに視線を落として、集め始めた。 俺も、君に背を向けて黒板と向き合うと、瞬間的に、緊張がほぐれた。 ごめんな、嘘ついて。 ほんとは、俺もお前とバスケ続けたかったよ。