「あ、あのー…」

声をかけた。ほんとに無意識だったと思う。

「…?」
ギターを弾いていた手を止めて、例のあの男子は、
私の方を向いた。なんてゆうか、睨んできてる様に。
眼鏡をかけていた。前髪も長くて。
朝見た印象とは裏腹に、とても大人しそう。そんな様子だった


「転校生の子だよね?えっとー、もしかして軽音部入りたいとか?」
「…」
「もしかして…聞かれたら嫌だった感じ?」
「…」
いや、なんだこいつ。
何聞いても無言じゃんか。聞こえてますかー?って。


「あ、えっと、歌うまかったね!」
無言な空気が気まずさを感じとっさにそんな話を切り出した。

「…」
いやまたかよ。何も答えてくれないなあ、と困っていると、そんな彼が急に立ち上がった。怒られる、、と身構えていたが、彼はギターをしまい、無言で裏口の方へ歩き出した。

ええ、、なにこいつ。ほんと、フル無視じゃん!

「ってか、なんで裏口知ってんの!?」
「…」
やっぱり無言。
歌声とはまた違う声なのかな?なんて思ったりもした。
そう思いながら、彼の後をおった。


帰り道。同じなようだった。それにしても、近くに引っ越してきた人なんていたっけ?なんてかんがえながら、歩いていた。
すると、彼の足が止まった。
「あの。」
小さくて、低い声。
あまりにも急な事だったのもあって、藍は緊張感が身体中に回った。
「はっはい、?」

「…さっきから何なんですか」
「あー、、ごめんごめん!いやぁ、ちょっと歌声きいたけどすっごい上手いなーって思って声かけちゃって!!」
「…じゃなくて、なんで着いてくるんですか。ストーカーですか。」

いや、帰り道こっちなんですが!!
「あー、私もこっちなんだよね!家!」
彼は納得したような顔をして、何も言わずにまた足を動かした。

「あっ、ねえねえ!名前、教えてよ!」
名前だけでも聞いておこう。友達になれるかもしれない。
そんな期待を少し抱き、勇気をだして君に尋ねた。

「…瑠衣。」

「るい?瑠衣くんって呼べばいい?」
「なんでも。」

いや、、ざっつ、、いちいち回答雑だな君!

「私は藍って言います、!あの、松永藍!となりの2組で…!」
「別に貴方の名前、聞いてないです。」

なんだこいつ!!!!!

微かな苛立ちを覚えて会話もせず帰った。