「実はさぁ〜、あれは、賭けだったんだよね〜」
え?、、、
”賭けだった”
花恋は、そのかけのために利用されたの........?
あなたのためだけにーー。
「それより、俺、実は、紗希ちゃんのこと好きだったんだよね。」
えっ?
そういう先輩は、別人...........?
それとも、
それが彼の本当の姿だったの.........?
もう、わかんないよっ!!
こんな事をしても、反省の表れはなく、淡々と私に話しかけてくる。
「だからさ、付き合おうよ。」
まだ、言うの...?
いい加減にしてよっ!!
彼との距離は、もう、数十センチになっていた。
そして、
彼と私との、顔の距離は、もう、数センチまで迫っていてーーー。
ガラガラ
私たちは、音のしたドアの方を向く。
すると、そこに、、、
「か、れん、、、」
と私の言葉と同時に
「花恋、、、」
先輩の言葉が被った。
「えっ?!ど、どうして、先輩と····さ、きがいる、の?·····」
と、花恋が私たちに向かって言う。
私は、急いで、
「花恋っ!これは、違うのっ!!誤解だよっ!!」
と言う。でも、混乱している花恋がきいてくれるはずはなく...........。
先輩はというと、
「··········。」
と黙っている。
「そうやって、私を笑ってたんでしょっ!!最低っ!!」
花恋は、そう言い残して、教室を後にした。
先輩は、
「な、なんか、ごめんね?」
と言い教室をたった。
私は、1人教室の中、茫然としていたーー。
ついには、1滴、2滴と、次々に目から、雫がこぼれ落ちた。
「····ヒッ··ク····ヒ···ッ··」
目の隙間から、光が入ってくる。
ゆっくり、目を開けると、
赤、オレンジ、黄色の光が目に入ってきた。
夕焼けーーーー。
こんな、綺麗な景色を見ても、今は、なんとも思わない。
その燃え尽くすような赤が、私の心をかき乱していく。
私は、夕焼けに語りかけていたーーー。
ねぇ、教えて。
教えてよ。
私は、どうすればよかったの?
追いかけるべきだったの?
花恋に会って、なんて言えばよかったの?
溢れ出す思いに止まらなくなる。
夕焼けにぶつけても、なんの意味もないのにーー。
分かってる。分かってるけど...........。
私のキモチは、どこにやればいいのーー?
夕焼けは、答えるはずもなくーーー。
夕焼けは、分かるでしょ?全部見てたでしょ?
私たちの関係は、そんなに脆かったの?
そんなに、一瞬の出来事に潰されてしまうの?
夕焼けの前では、話せるのに。
私は、臆病だね。
そして、茜色の空は、藍色に染っていくーー。
私の気持ちの変化みたいにね。
そう、3年前のあの時、私は、臆病だっだ。
あの後、私は、何度も、花恋に言ったっけな。
でも、聞いてくれるはずもなかったーーー。
そう·····。遅かった。
あの時、すぐ追いかけていれば、どれだけ良かっただろうか。
フッ、もう、遅いか......。
私は、苦笑いを浮かべる。
花恋は、あれから、1週間で転校してしまった。
あの日の夜に言われたんだとか。
もう、なんの繋がりもないーー。
私たちは、日々、大人に近づいていく。
「いってきまーす。」
誰もいないけどね、、、。
私は、一人暮らしをしている。
今日は、大学は、休み。
でも、あの日の夢を見たせいか。
無性に高校に行きたくなった。