「あのさぁ、さっきは5周回って馬鹿って言ったけどやっぱお前1周すら回らなくても馬鹿だわ」
ズキン、と胸が痛んだ。
それはさっきまでのような冗談の口調ではなく、本当に呆れたような言い方だったから。
彼のため息によって軋む感情は悟られないように、平静を装って言った。
「買ってくれたのは……人間サマで……作ってくれたのも……人間サマですし…。お母様もそう言ってたから」
『ロボットは恋をしちゃいけない』
『ロボットはロボットらしく働いていなきゃ』
『働けることが——幸せなこと』
『働けない者は、不幸な生き物』
『恋愛なんかにうつつを抜かしていては…いけない』
そんな、お母様の言葉の数々。
1つ1つを大切にワタシの胸に刻んでいる。
お母様はワタシを育てて……すぐに壊れたみたいで回収されちゃったから………。
だからワタシは、お母様の意思を受け継ぐ。言葉を受け継ぐ。