入学式の春。教室に足を踏み出してきたひとりの先生の顔を熱い眼差しで
見つめる。
「今日から、このクラスの担任となりますーーー渡部【わたなべ】秋斗【あきと】です。よろしくな。」
ざわざわと教室にて他の生徒達が騒ぐ。
「ねぇ。渡部先生、イケメンだよね♪」
「あたし、心臓きゅんきゅんしちゃった。」
女子達が、わいわい
キャッキャ嬉しそうにほほ赤らめて
話しをしている。
「渡部先生って恋人いるのかな?」
「狙う気マンマンじゃないの。
私も密かに狙ってるし。」
「だーーーだめ!!!!あ・・・っ。」
取られたらどうしようという
強い不安でつい椅子から立ち上がって
叫んじゃった・・・
クラスの皆【女子達】がじろじろ
ひそひそと話している。
恥ずかしいよ
「こら。うるさいぞお前ら。ホームルームの時間は、とっくに終了してるだろ?席についとけ。」
じっ
その視線にドキッと心臓が跳ねた
私の机まで近寄り、ポケットに何かを入れて去ってしまう。
ここでは怪しまれて見られないので、
図書室の近くの廊下で紙を広げ読む。
「終わったら、保健室までこい。」
たったその一言のみ。