ナオを最寄り駅まで送り届けた後、
残りの2割の荷造りへと取り掛かる。


クミコの部屋・・。

部屋と言っても、服や化粧品といった彼女の私物が置かれていただけの・・

全て“廃棄”となる物ばかり。


大ざっぱに分類しながら、
ゴミ袋へと詰めていく。


「・・・・・・・・・・・・・・。」


不思議と・・涙が出る事は無かった。

葬儀の時も、最後の火葬場でも。

楽しかったはずなのに、良い思い出のほうが上回っていたはずなのに、

どうしても浮かぶのは、
亡くなる直前の姿ばかり。


感情を失って、突如として沸騰して、
朝方まで捜索に走らされて・・


好きだったはずの感情が少しずつ黒く染まって、

いつの間にかその想いが逆転していった日々・・。