「まぁ……」

「やっぱりすごいわ。私なんて洋服作れないもの…。本当に着ていいの?」

「ん?S.A.Kの服?」

「違うわ…潤が作ったこの洋服たちよ…」

まさか菫が、俺の作った奇抜な服を着たいなんて夢にも思わなかった。こういった類の服は嫌いなのだと思っていた。

「どれでも好きに着てくれて良いよ…。それにサイズだって」

「サイズ?」

ここにある洋服はレディースの物ばかり。

メンズも作って自分で着たりはするのだが、昔から好んで作るのはレディースばかりだった。

女性の洋服の方が様々な形で華やかに作れるから楽しいんだ。それに…ここにある洋服の全ては菫にぴったりだろう。意識しなくとも、無意識に菫を意識して作った洋服が大半だからだ。

だからハッキリとした色合いの物が多い。

赤や青や紫。自分には似合わないと言っていたけれど、そういったハッキリとした色合いが君にはとてもよく似合う。

「菫のサイズにぴったりだと思う」

「嬉しい。私潤の作った洋服を着てどこかへ遊びに行きたいとずっと思っていたの…。
でも全然自分に似合わないだろうし、こんな派手な服人から変に見られるかなってずっと気にしていたのよ。
でも大丈夫よね?だって潤、私がしたい事を叶えてくれるんでしょう?だったら私は潤の作った洋服を着て、潤と一緒に色々な所に出かけたいわ!」

花のような笑顔で、瞳をキラキラと輝かせる。

菫、それは十分人を勘違いさせる言葉なんだけど、俺は一体どう受け取ったらいいのだろう?