「髪も綺麗な黒色だからな、赤はよく映えると思うよ。
それに会社に行く洋服は心配しなくて良い。S.A.Kの服を着て行けば良い。菫の部屋にしようとしていたクローゼットの中には試作品が山のようにあるはずさ。
S.A.Kの服は無難な感じだから、会社に着て行ける物も多いと思う。
それに俺が作った服も山ほどある。それは好きに着て良い。まだ世には出回ってない一点ものばかりだ」
そう言って彼女を部屋まで案内する。
まさか昨日の今日で来るとは思っていなかったから。あまり片付いてはいないが…。
部屋に入った瞬間、菫は「うわぁ」っと声を上げた。それもそのはず。この空いている一室はすっかり物置と化していて、S.A.Kの服と俺が趣味で作った洋服で溢れている。
でも大丈夫だ。寝るスペースならば余裕である。
意外にも菫はその服の山を見て、眼を輝かせていた。馬鹿らしい、服ばかりあって。と悪態をつくかなと思ったのだが、どうやら顔を見る限りえらく感心しているらしい。
「すごいわ……。やっぱり潤って才能あるわよね」
山になっている服を掻き分けながら、ぽつりと漏らす。
「服なんて誰でも作れるよ。作り方を知っているのならば。俺は小さい時から相当変なガキだったから才能とかそういった問題ではないと思うけど…」
「そんな事ないわ!服を作れるなんてすごいのよッ。
それによくもまぁこんな奇抜な服ばかり考えつく物よ。どれもこれも可愛いわ…。
ねぇ、このアクセサリーや靴も潤が作ったの?」