「そんな考えを持つような男が変わるとは到底思えないけど!
止めちゃえよ、そんな結婚なんて」

そう言えば、キッとこちらを睨みつける。

俺はお前を思って言っているんだぞ?

遊び慣れない…お嬢様育ちの菫にどうか出来る男とは思えなかった。

確か…レストランのオーナーで30手前。若くして経営者でありながら菫のお眼鏡にもかなうイケメンであるのならば、モテない訳がない。

そして金を持ちながら容姿も優れているとなると、遊んでない方が珍しい。たったひとりの女性を愛してその人しか見えない程嫉妬深い、菫が好きになった西城さんというような男の方がよっぽど奇特なのだ。

恋愛経験が無さ過ぎるが故に、男という生き物が分かっちゃいない。そんな男と我慢して一緒に居たって菫が傷つく未来しか見えない。



…デブでも不細工でも良いと思った。菫を本当に想い幸せにしてくれる相手であるのならば、お見合いだろうがなんだろうが文句は言わない。けれど……

「駄目だ、駄目だ。そんな相手断ってこい」

「何で私の結婚に潤が口出しするのよ。
それにお父さんは大倉さんがお気に入りみたいだし…」

「だから、結婚をするのはおじちゃんではなく菫だろう?
お前はそんな自分勝手で浮気性な男と恋がしたかったのかよ…」

「それは…違うけれど…」

そもそも疑問なのだ。気が強く我が強い女のくせに、何故にそこまで父親に従う?!

俺や大地の前で見せるような強い女のお前はどこに行った。