2.潤□僕を信じて□




うるさいな。そう言って窓を開けた菫は小石を何個かこちらへぶつけてきた。

おい!今目に入る所だったぞ?!俺が失明したらどうしてくれる。けれど、悪態をついた菫は何故か傷ついた顔をしていた。

スッピンでも大きな瞳を下へ向けて、下唇を噛むように悔しそうな表情を浮かべる。

「見合いが嫌ならおじちゃんに嫌だと言えばいーじゃねぇか」

「別に嫌なんて一言も言ってないんだけど?!」

「だってデブも不細工も嫌いだろ?
菫は昔からちょっと冷たそうなイケメンが好きだったろ。ほら中学時代に好きだったアイドルも。
あの人もそーいえば西城さんに少し似てるな。切れ長の目がかっこよくってさ」

「だから何でデブで不細工だと決めつけるのよ。
お父さんは…素敵な人だと言っていたわ…」

「おじちゃん達世代と俺たち世代では素敵の基準も違うしさ……。
それに人には好みってもんがあるしさ」

宥めたつもりが更に機嫌を損ねたようだ。大きな瞳でぎろりとこちらを睨む。

「それに菫はおじちゃんの言いなりになり過ぎだと思う。
西城さんの事はご愁傷様としか言いようがないけれど、世界は広い。西城さんよりイケメンな男も良い男も沢山いるんだ。
もっと視野を広げて見るべきだ!色々な人と付き合ってみるべきだよッ!もしあれならば俺知り合いでも紹介するし!」

「潤の知り合いなんて絶対に嫌ッ!」

「けどさ、菫はそれでいい訳?おじちゃんの決めたデブで不細工な男しか知らずにこの先生きて行くんだぞ?」

その言葉に菫は真っ青になり震え出した。…いや、デブで不細工かは知らねぇけどさ。