「おいッ佐久間潤!美麗に近づくな!
西城グループで結婚式を挙げれるのも俺の好意だと思って、俺に感謝しろッ!
お前の為じゃねぇからな!菫さんの為だ!」

そして私が思っていたよりもずっと大輝さんもヤキモチ妬きで子供だった。

その様子に思わず笑みがこぼれる。


そうね、きっと私の知らない所で色々とあるものね。

私と潤の間にだって本人たちしか知らない事は勿論ある。

きっと美麗さんと大輝さんの間にも彼らしか知らない様々な事があるのだろう。


「そういえば菫さんにお願いというか、今度会って欲しい人がいると言うか」

大輝さんが神妙な面持ちで私を見つめた。

「会って欲しい人?」

「えぇ、式が終わって新婚生活も始まって落ち着いてからでいいのですが…」

「勿論。大輝さんの頼みなら」




青空の下で大きな金の音が鳴る。

父に手を引かれて歩いた子供の頃のように、腕を握り締めてゆっくりと歩く。

ベールの先に見えたのは、こちらへ向かって微笑みをかける潤の柔らかな表情。

父から潤へ手渡されて、新しい道へと歩いていく。

「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「誓います――」

周りには私を愛してくれた人と隣には愛する人。

夢を叶えてくれてありがとう。あなたと結婚出来て私はとても幸せ者だわ。

目をゆっくりと閉じてその幸せを噛みしめていたら、温かい温もりが手を包んで

視線の先には大好きな笑窪の出来る笑顔が広がって行った。