「はぁ?!あんた女だろ?ハンカチすら持ってきてないのか?!」
「うっさい!朝バタバタしてて忘れちゃったんだよ!さっさとよこせ!」
西城さんがポケットからハンカチを取り出すと、美麗さんはブーっと大きな音を立てて鼻をかんだ。
開いた口が塞がらないわ。
私の中の美麗さん像がガラガラと崩れていく。
儚く奥ゆかしい…お花のようなはずの…美麗さん…。
「うわ、汚ねぇ!そのハンカチもう使えねぇな」
「はぁ?洗濯したら使えるし、人をバイ菌扱いするのは止めてよね?
これだから物を大切にしないお坊ちゃまは嫌いよ!」
お花のように可愛らしい美麗さんは…私の想像とは少しかけ離れていたみたい…。
潤がそっと私へ耳打ちする。
「美麗ちゃんって面白いよね。特に西城さんといる時なんて笑える」
「えぇ…ちょっと私のイメージしていた女性とは違ったみたいね」
涙を拭った美麗さんが潤の前へやってきて、にこりと微笑む。
「佐久間さんも素敵です。とってもかっこいいわ。
それに容姿は相変わらずタイプだわ……」
どうやら美麗さんは潤の容姿は好きらしい。
そう言われて潤も潤でヘラヘラと笑っている。
…何かムカつくわね。 あんた今ちょっと幸せでしょ?花嫁を横によくもまあそんなヘラヘラした顔が出来る事。
すかさず美麗さんと潤の間に入った大輝さんがふたりを引き離すように美麗さんの手を引っ張った。