「俺は菫と結婚出来るの嬉しいよぉ~。おじちゃんに感謝って感じ~」
プロポーズは?!
指輪は?!
そんな事を言える訳もなく、嬉しそうな潤の笑顔を前に小さくため息を吐く。
式場は押さえて、私達の所縁のある人々への招待状も送った。
後はこの1か月で怒涛の結婚式の準備が始まるのであった。決める事は想像していた以上に沢山あった。
西城社長のご厚意で西城グループのホテルを使わせてもらう事になり、文江さんのはからいで海外の有名デザイナーの作ったドレスが何着か着れる事になった。…お色直しなんてしなくてもいいのに。
当日のヘアメイクは奈々さんが買って出てくれて、カメラマンとして飯田さんが写真を撮ってくれるらしい。
ド派手な演出にはしたくなかったけれど、父が勝手にオプションを何個も何個も付けだして、しまいには時代遅れのゴンドラまで用意しようとしたので、さすがにそれは止めた。
突然の挙式だったが学生時代の友人の佐波は友人代表を快く引き受けてくれた。
結婚は嬉しい。確かに嬉しいのだが、私の寝不足の日々が幕を開けた。
「菫さんーこの資料なんですがー
って菫さん?!」
「あー三井さん…机の上に置いておいて…」
「ちょ、大丈夫ですか?!顔色が悪いですけど!!」
「ごめん、ごめん。ただの寝不足なだけだから……」
「あー結婚式の準備?てゆーか突然ですもんねー。でもいいなぁー西城グループのホテルですよね~。あそこって予約1年待ちとかって人気なんですよね。
それにS.A.Kの佐久間潤さんが菫さんのお相手なんて、お似合いすぎですぅ~!」