「お父さん……」
「潤くんが良い子だという事など…小さい時から知っている!
だからこそ悔しいんじゃないか…。
確かに私は駄目駄目な過保護親父かもしれない…。
けれどそれも菫を大切に想うが故…
うう…」
「お父さん…私だって潤と同じくらいお父さんやお母さんが大切よ?
それにどんな事があったって家族には変わりないんだから……
ね?だから私からもお願いします。潤との事を認めて下さい。」
涙を流す父に対し、菫は正座をしたままその場で頭を下げる。やっぱりお前は凛としている女だと思う。
涙のひとつも見せずに…。菫に続いてその場で俺も頭を下げた。
ばーちゃんはその場で腕組みをしてフッと小さく笑う。
「ほら義彦。お前に育てられた菫はこんなにもしっかりしている娘だ。
潤はーー…確かにあたしから見ても少し頼りない男かもしれないけれど、大丈夫だよ。
こいつはあたしの孫だ。自分が決めた事くらいは守る男だ。
だからあんたも少しは素直になってふたりを見守るくらい大きな男になんな!」
「あなた……」
おばちゃんがしゃがみこみおじちゃんの背中を優しくさする。
おじちゃんは腕でぐっと涙を拭きとって、こちらへ真剣な眼差しを向けた。
「潤くんが家に来てくれたり私の為に病院へ駆けつけてきてくれた時から…菫は任せようとは思っていた…。どうしても言えなかったが…。
私だって君がしっかりとしている男だとはとっくに認めている…。
それでも寂しかったんだ…菫がどこか遠くに行ってしまう気がして…」