「潤はどう思ってるんだい?!」

何故か矛先は俺にも向けられる。

菫も何故か俺の横に正座して、その様子を舞だけがけらけらと声を上げて見ていた。

…お前は家族で1番ばーちゃんに似ているよ。この状況で笑っていられるんだから。

「お、俺は菫と結婚したいと思ってますッ!」

「だから俺は潤くんとの結婚は認めたなんてまだ言ってないぞ?!」

「認められるまで何度でも話し合いをしたいと思ってます。
菫とおじちゃんが気まずいまま結婚なんて出来ないですから…。だから今日もここに話をしに来ました。まさかばーちゃ…文江さんがいるなんて予想外でしたけど…。
それにこの間も言った通り俺は諦めるつもりもないし、真剣だから。
だから認めて貰えるまで退く気はありません…!」

「お前になんて菫が幸せに出来るもんか!
菫は私の可愛い一人娘なんだぞッ。ずーっとずーっと私と一緒にいて、本当にいい子だったんだぞ…
それを…それを…潤くんが…私なんかより潤くんと暮らしたいなど……
そんなそんな寂しい事を…私よりも潤くんが好きなんて…
小さい頃はお父さんが1番好きだって言ってくれたのに…」


そこまで言いかけたおじちゃんの瞳が涙で潤んでいる。

なんという情けない姿だろう。いつだっておじちゃんは完璧で余裕のある人だった。情けない姿を人に晒すような人ではない。

そのおじちゃんが人目もはばからずに涙を見せるとは……。そうおじちゃんにとって菫は大切な一人娘。どんなに厳しく育てていたとして、愛している事には違いない。