「綾から大抵のあらましは聞いてるよ?!
何でも菫と潤の結婚を反対しているそうじゃないかッ。
義彦は昔からそうなんだ、子供はいつまでも子供のままじゃないよ!
潤と菫はもう立派な大人だ!そのふたりが決めた事ならば笑って祝福したらどうなんだいッ!
全くお前と来たら昔から堅物だとは思っていたが、菫に勝手に婚約者を用意しただって?!そうやっていつまでも菫の気持ちを無視したまま、だからこの子もあんたに何も言えなくなったんだろう?!」
「しかしおばあさま」
さっき俺の頭へ飛んで行ったげんこつが、次はおじちゃんの頭へと落ちた。
おじちゃんも言葉を失い頭を抑える。
「誰がおばーさまだ!文江さんとお呼び!
年寄り扱いされるのは嫌いだよッ」
「しかし文江さん!
菫はまだ子供ですッ!それに嫁入り前の娘が男と同棲などッ!」
「男つってもずっと一緒にいた潤じゃないのさ。
あんたは誰であろうと菫が結婚するのが気に食わないだけさ。
全く子供みたいに閉じ込めておいて!
菫が可愛いのは否定しないけどね、子供つーのはいつか親から巣立っていくもんさ。
巣立つまでを温かく見守るのも親の務めって奴だろう?!」
「うう…しかし…」
実の祖母ながら俺だって恐ろしい存在ではある。
勿論父もこの祖母には頭が上がらない。
気が強くパワフルなかーちゃんでさえ、この人の暴走を止める事は出来ないのだ。
しかしとて家族思いの優しいばーちゃんである事には間違いない。けど、久しぶりに会ったせいか…免疫が…。