予想通り、玄関に入った瞬間ばーちゃんの大声が家中に響き渡っていた。

「義彦ーーーーッ!あんたは相変わらず頭が固いんだよッ!!!」

思わず耳がキーンとした。
舞は何やらワクワクした顔をしているし、菫は菫で呆気に取られている。

「ばーちゃん!何やってんだよッ!」

リビングではばーちゃんの前で正座をするおじちゃんと

それをこれまたオロオロと口元をおさえて何やら気まずそうにしているおばちゃん。

そして……真っ白のワンピースにカラフルなドットが入っていて思わず目がちかちかする。そして頭はピンク色。

振り向いたばーちゃんは…70過ぎとは思えぬ程肌艶が良く、目の前で正座させられているおじちゃんの方がよっぽど歳に見える。

この人やっぱり不老らしい。最後に会った時となんら変わりは無い。

ばっちりとつけられた付け睫毛のついた目をつり上げて俺の方へやって来たかと思えば、大きなげんこつが頭に落ちる。

「ッ…!」

余りの痛みに声も出ない程。

「なぁにがばーちゃんだッ!’文江’さんと呼べと何度言ったか!
お前の耳は節穴だったか?!丁度良い、お前もそこに座れ」

何故かおじちゃんの隣で正座させられる羽目になる。おじちゃんは隣ですっかりと魂の抜けきった顔をしている。…可哀想に。