大輝さんの言葉にハッとした。

比べていたのは、どちらだったか。

美麗さんが普通で、私が普通ではないなんて。そうやって壁を作っていたのは自分自身だったのではないか。

「大輝さんは……美麗さんの結婚を反対されたりしないんですか?いずれ…結婚をするつもりなんですよね?」

「えぇ反対されてます。大反対です」

「え?!そうなんですか?!」

「両親は大歓迎ですが、祖父がどうにもこうにも大反対です。
あんな普通の娘と西城グループの跡取りであるお前が釣り合いが取れるもんかーって今もぎゃーぎゃー騒いでいます」

大輝さんと美麗さんにそんな事情があったのなんて知らなかった。

そうね、思って見れば身分違いの恋というものなのかもしれない。

世界の西城グループだ。私だって初めはこの人と政略結婚のような形で出会った。

「俺は美麗と一緒にいられるのならば両親の許しや祖父の許しなんかいらないって思ってました。
実際両親にも美麗の話なんかした事なかったし、けれどきちんと自分の想いを伝えれば案外分かってくれるもんなんですね。
美麗に出会うまでは自分はいつか会社に決められた相手と何となく結婚するんだろなぁって思ってたし、そんな未来を諦めていましたけど
でもどうしても譲れない想いだったから、きちんと話しました。祖父はまぁああいった性格だから分かって貰うのに時間はかかると思いますが、それでも今はいつか分かって貰ると思います。
俺ね、美麗に教えられたんですよ。話す前から無駄だって思い続けていたけど、あんなに怖い祖父にも美麗は立ち向かっていった。反対されても西城さんと離れるつもりはないんだって、だから分かって貰えるまでいくらでも話すんだって」