「潤に頂いたわ」
嬉しくて嬉しくて3冊も貰ってしまったなんて口が裂けても言えやしない。本当に素敵な出来上がりだった。写真があんなに私を綺麗に写してくれると思ってはいなかった。それにモデルをしている潤もかっこいい。
これが東京の大画面で公開されるなんて…初めは嫌でしようがなかったけれど…今は少しだけ楽しみでもあるのよ。
「すっごい良かったよね~。菫っちちょ~綺麗だったし、まぁ元が良いからなんだろうけど~。
あたしも菫っちくらい綺麗に生まれてたら人生違ってたのになぁ~」
カタログに目を落とし、はぁ~とため息を吐く奈々さんは私から見ればとても可愛らしい女性だ。
素直というか…。無邪気って言うのかしら?私だって奈々さんくらい可愛げのある女性だったら、人生もっと違っていた気がする。少なくとも潤とこんな遠回りもしなかったでしょうよ。
「奈々さんは素敵よ」
その言葉に彼女はこちらを見て顔を赤らめた。
「もぉ~…菫っちってば照れるような事言わないでよ~…。
菫っちみたいな綺麗な人から素敵なんて言われたら恥ずかしくなっちゃう。
でもほんと、菫っちは綺麗だよ~。あたしなんて目も大きくないし、鼻も低いしさ顔も丸いしコンプレックスだらけなんだもん。」
「そんな風には見えないわ」
事実奈々さんは可愛らしい女の子だった。綺麗にメイクをして可愛らしい髪型をして、いつだってお洒落な服を着ている。