「私はいいの…」

「はぁ?」

「そうじゃなくなって…。こういう時なんて言えばいいか分からないわ」

自分でも相当戸惑っている。こんな気持ちになるなんて。

あなたをこんな風に愛しく思って、キスだけじゃ物足りなくてもっと触れて欲しいなんて…。

女性からこんな事をいうのなんてきっとはしたないのだわ。けれども私はもっと深く潤と繋がり合いたかった。その方法は思い浮かばない。

触れたいし、触れて欲しい。その気持ちがこんな私にも備わっているなんて不思議な気持ちでいっぱいなんだけど。

「菫?どうした…?」

大きな瞳に見つめられるととても恥ずかしい。体温が上昇していくのが分かる。
下を向きながら小さな声で言った。

「私を潤の物にして欲しいのだけど…」

言ってしまった後はもっと恥ずかしくて、真っ赤になった顔を伏せて唇を噛みしめる。

ど、どうしよう。潤の顔が見れないわ。こんな事を言ってしまって痴女だとでも思われたらどうしたらいいの?生きていけない。

けれどゆっくりと潤の方を向くと、私と同じくらい…いやそれ以上に顔を真っ赤にして驚いた顔をしていた。それには少しだけホッとした。

「菫…無理しなくてもいいんだよ?今更だ。俺はいつだって待てるよ?」

優しい人なのはずっと知っていたけれど、こんなに優しかったなんて。

「無理なんてしてないわ…。私は潤と一緒にいるとこう胸がキューっとしてきて、自分でも今まで感じた事のない感情になるんだけど…」

近くにいるだけじゃあ物足りなくて…こんなに愛を証明して欲しがっている自分が、自分の中にいたなんて。全くあなたは、私に知らなかった感情を教えてくれるのが上手な人ね。

「本当にいいの?」