いつも冷静な大輝さんが大きく目を見開いて、焦ったようにハンカチで口元を拭う。
あら、驚くとこんな表情も見せるのね。
「やっぱり僕の言う通りだったじゃないですか。
佐久間……さんが美麗をタイプだといったのは、菫さんに似ているからだ。
そう考えるとなんか美麗を利用されたようでムカつきますが、彼は初めから菫さんが好きだったんですよ」
「それはどうかしら。
それに自分では美麗さんには全然似ていないと思うから、不思議よ。
私はあんなに女の子らしくないし」
「お…んな…らしい…?」
大輝さんは目をぱちくりとして私の話を不服そうな顔をして聞く。
「えぇとっても可愛らしくて性格も良さそうだわ。ふわふわとしていてお花のようで女の子らしさの塊です。
きっと性格も素直で優しくって私なんかと全然違うんでしょね」
人と自分を比べるのは馬鹿らしいけれど、私も美麗さんのように可愛げのある女性に生まれたかった。
ボヌールに来て可愛らしいスイーツに素直に目を輝かせるような素直な女性に…。
けれどその話をすると大輝さんは大笑いした。
「あっはははは、菫さんは美麗の事を全然分かっていない。
菫さんが思っているような女性ではないですよ。どちらかと言えばがさつですし、料理も本人はちっとも上手にならないって言ってる。
それに性格も全然素直じゃなくってどちらかと言えば憎まれ口ばかり叩いています。
…まぁそう言った所が美麗は可愛いんだけど…」
美麗さんの話をする時の大輝さんはいつもよりも優し気だ。彼女が大好きなのが伝わってくる。