7.潤□初めての夜□
想いが通じ合った初めての夜。
初めての…夜?
「ふぁ~…眠…。じゃあ私寝るね。おやすみ」
「寝る…?」
「何よ、潤はまだ寝ないの?」
「いや…寝るけどもさ……」
「夜更かしは美容にも健康にも悪いのよ。潤も0時過ぎには寝るように心がけるべきだわ」
それだけ言い残し、菫は部屋に入ってしまった。 思わず拍子抜けしてしまう。
俺たち付き合う事になったんだよな?!問いかけたかったけれど、口には出来なかった。菫は結婚するなら俺が良いって言った。好きだとも。
キスまでしたんだけど、何故だいつもとこの変わらない雰囲気はッ?!こんなもんか…。そう思いため息をつきながらソファーに腰をおろしたら、ガチャっとドアが再び開く。
ドアから顔を出したまま、こちらを見つめる。何故か上目遣いで頬が密かに赤い。
「あのさ。」
「どうした?」
「今日潤の部屋で一緒に寝てもいい?」
おお。中々大胆な事を言い出すじゃないか。それは俺も思っていた所なんだよ。
せっかく想いが通じ合った男女が、離れて眠るっていうのも悲しいじゃない。えらくあっさりしていた菫に対し、俺たちは付き合う事になったのかと疑問さえ感じたが
ソファーから立ち上がり、部屋の前まで行って菫へ手を差し出す。すると彼女はそれに重ねるようにぎゅっと握りしめた。その花のような微笑みは、もう俺だけの物って事にしておいていいか?
菫が来るまで荷物置き場と化していた部屋は、未だにごちゃごちゃしていた。
そんな所に布団1枚敷いて菫を寝かせるのは忍びないと思っていたんだ。それに恋人同士ならば一緒に寝るのが自然だよな?こ、こ、恋人同士なんだよな?!