「それに人なんてそう簡単に変われねーよ。他の女とは遊ばない?菫と真剣に付き合う?1日や2日で人の気持ちなんて変わりやしない。
そんなのお前のご機嫌を取るだけの言葉に決まっている。お前みたいに騙されやすい女なんてあっちにとっちゃ好都合なんだよ。
どーせ篠崎リゾートの後ろ盾が欲しいだけだろッ!そんな男にちょっと良い事を言われたくらいで直ぐに心がぐらつくなんて見損なった!」
だから何で潤にそこまで言われなくっちゃいけないのよ。
テーブルの上に置いてあった飴玉を一握り掴むと、それを思いっきり潤に投げつけた。
それは潤の頭に命中して床にバラバラとカラフルに散らばった。
「痛いなぁ!何すんだよッ!」
「何で私が潤にそこまで言われなくっちゃいけないのよッ!私の人生よ潤には関係ないッ!」
「そんな男となんてお前は幸せになれないって言ってんだよ!」
「そんなのやってみなきゃ分かんないでしょ?!」
ヒートアップした喧嘩は終わらない。顔を上げた潤が私を睨みつける。
「菫、その人の事好きなの…?」
「好きでは…ない…。でも好きになれるかもしれないじゃないの…。これから一緒に過ごしていくうちに人の気持ちは変わる…。
それにどうせならば皆が喜んでくれる結婚を私はしたいと思っている。お父さんも喜んでくれるならそれはそれで1番幸せな結末じゃ…ないの」
「変わらない気持ちもあるよッ!」
真剣な顔をして、潤は私の腕を掴んだ。
余りに真剣な表情だったから、思わず身を引いてしまった。