「それよりあんたッ、菫とは仲良くやってんのかい?!」
「は?」
「鈴ちゃんから聞いてるんだからね~。菫が家出をしたって菫のとーちゃんが騒いでるかと思えば、鈴ちゃんは潤の所にいるってきかなくってさー。
あんたときたら私にも言わないでー」
マジかよ。おばちゃんかーちゃんにまで言っているのかよ。
まぁかーちゃんからおじちゃんに伝わるとは思わなかったけど、とーちゃんからおじちゃんに…。それはないか。父は余計な事を言わないタイプの人間だ。
「おじちゃんに言うなよッ?!」
「そりゃー言わねぇよッ。言ったら潤の事ぶん殴るに決まってる!
それにしてもあんたも水臭いったらないよ…。菫と付き合ってるなら付き合ってると教えてくれてもいいじゃないのさ!」
「だからー!おばちゃんのかーちゃんも何を誤解しているのか知らんけど、俺と菫は付き合ってない!
菫の家出に付き合ってやってんだよ……。」
隣で母が目を丸くする。
そして俺の背中を思いきり叩いて大笑いする。
「ガッハハハハ、あんたかーちゃんの目は誤魔化せないよ?
あんたが菫を好きだっていうのはとっくの昔に知っているんだ。それに菫もあんたが好きだろう。それの何が悪い。
篠崎の親父と親戚になるのは勘弁だが、鈴ちゃんと本当の親戚になれるのは嬉しいつー事だよッ。
あんたは顔は私に似てるのに、性格はこの人に似て少しだけ軟弱な所もあるから困りもんだねーッッ!菫のウェディングドレスはあんたが作ってやればいい!
今から孫の顔が楽しみだよ!ねーとーさん!」
「そうだねぇ。菫ちゃんは美人だからきっと男の子が生まれても女の子が生まれても可愛いだろう…」