「分かっているわよ。頼りなくっても母親ですもの。
菫ったら潤くんに作った服ばかり持っていって、子供の頃から大切にしていた物ばかりなくなっているから。
それにあの子は気心の知れていたとしても遠慮をしすぎて友達の家に飛び込むなんて考えられないわ。
そう思えば潤くんの家に行ったとしか考えられないわ。あの人は単純だから菫の言った事をそのまま鵜呑みにしちゃうんだろうけど」

「おばちゃん……。でも菫がうちにいるからといって、何があるって訳ではないから心配しないで欲しい…。」

「勿論よ。むしろ潤くんと一緒なら心強いし安心だわ。
私は、菫にはお父さんの言う通りに生きていく事を望んでいないの。でもあの子は我儘のひとつも言わない子で我慢ばかりしてくれるから…。
そんな菫が世界で1番心を許してるのは、昔から潤くんだけだわ。」

そこまでおばちゃんに信用されているとは思わなかった。だからこそ、余計に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

けしかけたのは俺だ。そして例え幼馴染であっても母親として心配なのは間違いない。

おばちゃんは少しだけ皺のある細い手で俺の両手を包み込む。

「潤くん菫は気が強い所もるけど繊細だからよろしくね」

「いや…マジでおばちゃんが思っているような事は何もないからね?」

「あらそう?菫が潤くんを好きなのなんて昔から知っているし、私も潤くんならば安心なんだけどね。
それに綾ちゃんとも昔からお互いの子供たちを結婚させれたらいいねって言ってたし、あなたたちふたりだって小さい頃は結婚しようねって約束していたのよ」