妃奈side
あれから紅の家にお邪魔した。
ナンパされたこと、襲われそうになったこと、胡桃がフラッシュ状態になったこと。
泣きながら話すと紫夕さんに大丈夫だと頭を撫でられた。
「胡桃……泣いてたんです」
「泣いてた?」
「胡桃が倒れる前にごめんねって声が聞こえた気がしたんです……気のせいかもしれないけど。 でも私血は吸われていないし」
胡桃に襲われたけどほぼ怪我はしていない。
「胡桃は……無理やりフラッシュ状態になったのかもな」
「……え?」
「フラッシュ状態になった女の吸血鬼は一般男性よりは遥かに力が強くなる。それを利用して……助けたかったのかもな」
「……胡桃……」
ギュッと服の裾を握る。
「……んん……」
「胡桃?!」
胡桃がゆっくりと目を開ける。
良かった……!
「ここは……っ」
辺りを見回して私を見つけると気まづそうな顔をする。
「ここはね紅の家なの、胡桃意識失って倒れたんだよ」
そう言うと胡桃は突然ボロボロと泣き出した。